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不動産売却の知恵袋

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不動産売却時に取得費がわからないときの算出方法と注意点

はじめに

こんにちは、エステートプランです!

不動産の売却を検討している方から、
「購入したのが何十年も前で、取得費の資料が残っていない」
「相続した不動産なので、いくらで取得したのかわからない」
といったご相談を受けることが少なくありません。
不動産を売却すると、原則として譲渡所得税(所得税・住民税)の申告が必要となります。その計算に欠かせないのが「取得費」です。
今回は、不動産の取得費が不明な場合の算出方法と概算取得費を使う際の注意点を解説します。(2025年(令和7年)時点の税制・実務運用に基づく)

不動産の取得費とは

不動産の取得費とは、その不動産を取得するために実際に支払った費用の合計を指します。単なる購入代金だけではなく、主に以下の費用が取得費に含まれます。

  • 土地・建物の購入代金
  • 建物の建築費用 不動産会社へ支払った仲介手数料
  • 売買契約書に貼付した印紙税
  • 登記時の登録免許税 司法書士報酬
  • 不動産取得税
  • 既存建物の解体費用 土地の測量費・造成費
  • 一定条件下での借入金利息

なお、建物部分については減価償却(年数経過による価値減少)を考慮し、取得時の費用から所有期間分の減価償却費を差し引いた金額が取得費となります。
一方で、法人・個人を問わず、事業活動に直接関係しない支出や、相続争い(遺産分割調停・訴訟など)に要した費用などは、取得費には含めることができません。

譲渡所得の基本的な計算式

不動産売却時の譲渡所得は、次の式で算出します。

譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)

譲渡費用には、売却時の仲介手数料や測量費、解体費などが含まれます。
取得費が不明確な場合、この計算が大きく変わるため注意が必要です。

取得費が不明な場合の算出方法

古い不動産や相続不動産では、売買契約書や領収書が残っていないケースも多く見られます。そのような場合に認められているのが「概算取得費」です。

概算取得費の計算式

取得費が確認できない場合、売却価格の5%を取得費として計算する方法で、計算式は以下のとおりです。

譲渡所得 = 売却価格 −(売却価格 × 5% + 譲渡費用)

この方法は、所得税法上認められている正式な算出方法です。

概算取得費が使えるケースと注意点

概算取得費は、もともと昭和27年12月31日以前から所有していた不動産を想定した制度ですが、実務上はそれ以降に取得した不動産であっても利用が可能です。
ただし、以下のような重要な注意点があります。

  • 実際の取得費よりも概算取得費の方が低くなる場合が多い
  • 結果として、譲渡所得が増え、税負担が重くなる可能性がある
  • 新しい不動産ほど、実取得費を調査した方が有利になるケースが多い
    特に、築年数が浅い建物や、比較的高額で取得した不動産の場合は注意が必要です。

概算取得費以外で取得費を推定する方法

昭和28年1月1日以降に取得した不動産については、以下の資料を用いて取得費を推定できる場合があります。

  • 国税庁公表の「建物の標準的な建築価額表」
  • 日本不動産研究所が公表する「市街地価格」
  • 当時の不動産広告、住宅パンフレット、金融機関資料 など
    これらを合理的に組み合わせることで、概算取得費より高い取得費を認められる可能性があります。

更正の請求ができるケース・できないケース

概算取得費で確定申告を行った後でも、「後日、売買契約書や領収書が見つかった場合」や「実取得費の証明が可能になった場合」には、更正の請求(原則5年以内)により税金を取り戻せる可能性があります。一方で、「概算取得費で申告した後に、建築価額表や市街地価格を使って再計算する」という理由では、更正の請求は原則として認められません。
そのため、申告前にどの算出方法が最も有利かを慎重に比較することが重要です。

まとめ

不動産の取得費は、譲渡所得税の計算に欠かせない重要な要素です。
取得費が不明な場合は、売却価格の5%を用いる「概算取得費」が利用できますが、
概算取得費は税負担が増えるケースも多いため、安易な選択には注意が必要です。
建築価額表や市街地価格などを用いた推定が有効な場合もあり、不動産の取得状況や築年数によって、最適な判断は大きく異なります。
不動産売却における取得費の判断は、税務・不動産実務の両面からの検討が欠かせません。

売却前の段階で、不動産会社や税理士などの専門家へ相談することで、不要な税負担を回避できる可能性があります。

エステートプランでは、北九州・筑豊・京築・福岡エリアでの不動産に関する無料相談を提供しています。売却、処分、住み替え、税金に関することなど、不動産に関するどんなご相談でもお気軽にご連絡ください。

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