成年後見制度を使って認知症の親の不動産を売却する方法 その2
はじめに
こんにちは、エステートプランです!
前回のコラムでは、成年後見制度の基本的な仕組みと、任意後見・法定後見の違いについて解説しました。今回は、それぞれの制度を利用するための具体的な手続きの流れを見ていきましょう。

成年後見制度を利用するための手続き
成年後見制度の利用を開始するには、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てを行います。ただし、任意後見制度と法定後見制度では、手続きの流れが異なります。
任意後見制度の手続きの流れ
任意後見制度は、本人に判断能力があるうちに将来に備えて契約を締結しておく制度です。判断能力が低下した後に家庭裁判所が任意後見監督人を選任することで、初めて契約の効力が発生します。
① 任意後見受任者を選ぶ
任意後見受任者(将来、後見人となることを引き受ける者)は、信頼できる者であれば、原則として自由に選ぶことができます。家族・親族・友人のほか、弁護士・司法書士などの専門職や法人を選任することや、複数名を指定することも可能です。
ただし、以下に該当する者は後見人となることができません。
・未成年者
・破産者
・行方不明者
・本人と訴訟関係にある者およびその家族
② 契約内容を決める
任意後見契約で委任できる内容は、法令の趣旨に反しない範囲で、当事者間において自由に定めることができます。主な委任内容の例は以下のとおりです。
・預貯金の管理
・公共料金・税金などの支払い
・不動産の契約および売却手続き
・遺産分割協議の代理
・介護施設への入居や介護サービス契約の締結
例えば、「施設への入居資金は自宅を売却した資金を充てる」といった具体的な希望を踏まえ、それに対応する代理権を付与することも可能です。
③ 公証役場で任意後見契約を締結する
契約内容が決まった後、本人と任意後見受任者の双方が本人の住所地近くの公証役場へ出向き、公正証書により契約を締結します。公正証書によらない任意後見契約は法律上無効となるため、必ず公証役場で手続きを行う必要があります。
④ 任意後見監督人選任の申立て
本人の判断能力が低下し、契約の効力を発生させる必要が生じた段階で、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に対して、「任意後見監督人選任の申立て」を行います。申立てができる者は、本人・配偶者・四親等内の親族・任意後見受任者に限られます。
⑤ 任意後見監督人の選任
家庭裁判所が任意後見監督人(任意後見人の業務が契約内容に沿って適切に行われているかを監督する者)を選任すると、任意後見契約の効力が発生し、任意後見人としての業務が開始されます。
なお、任意後見契約の内容は東京法務局に登記されます。任意後見人は、最寄りの法務局において「登記事項証明書」の交付を受けることで、第三者に対して自身の代理権を証明することができます。

法定後見制度の手続きの流れ
法定後見制度は、すでに判断能力が低下している場合に利用する制度です。任意後見制度のような公正証書による契約は不要であり、直接、家庭裁判所に申立てを行います。
① 後見開始の審判の申立て
本人の家族や四親等内の親族などが申立人となり、必要書類を整えたうえで、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)の選任を申立てます。
② 家庭裁判所調査官による調査
家庭裁判所調査官が、本人や後見人候補者から事情や意思を確認し、申立て内容について調査を行います。後見・保佐の申立ての場合には、原則として医師による判断能力の鑑定が必要となります。
③ 審理・審判および後見人の選任
提出書類、調査結果、鑑定結果などに基づいて審理が行われ、家庭裁判所が後見(保佐・補助)開始の審判を行うと同時に、成年後見人等を選任します。審判の内容は、申立人および後見人に対して審判書として送付されます。
④ 審判の確定と登記
審判書の送付後、2週間以内に不服申立てがなされなければ、審判は確定し、その内容が東京法務局に登記されます。これにより、成年後見人としての資格が正式に確定します。
次回は、成年後見人が実際に不動産を売却する方法と注意点について解説します。

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